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認定看護師は1997年に認定開始をしてから、順次、新しい分野の特定と認定開始を繰り返し、現在では全21分野の認定看護師があります。
その中でも、2010年に特定され2012年より認定開始された新しい分野のひとつが「慢性呼吸器疾患看護」です。

認定開始して、わずか3年で資格保持者は200名を超えている注目の分野でもある、慢性呼吸器疾患看護認定看護師について紹介します。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師とは

慢性呼吸器疾患看護認定看護師とは、近年増加しているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめ、さまざまな呼吸器の慢性疾患患者への看護実践や、生活の支援を行います。
肺は機能が一部でも失われると、治ることはありません。そのため病棟看護だけではなく在宅看護や、在宅生活に向けての支援など、活動領域は幅広いです。
患者は肺気腫と慢性気管支炎の症状を併発したり、合併症などのリスクがあります。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、習得した専門スキルを活かして、残っている肺機能低下を予防する看護ケアを行います。また、患者の多くは長期療養が必要になるので、患者と家族に対して自宅療養のための相談と指導を行います。

資格保持者

220名(2016年2月1日現在)
慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、分野が特定されて間もないですが、これまで順調に資格保持者が増えています。
第22回認定審査では56名の合格者を出しています。
病院など、施設側も認定看護師の育成やポストの用意に積極的な分野だと評価できます。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割は、安定期・憎悪期・終末期における患者と家族のQOLを向上させることです。
慢性呼吸器疾患は、回復が見込めても完治が難しい症例が多いのが特徴です。
専門知識と経験を活かして看護実践はもちろん、患者と家族のセルフケアの指導を行います。
慢性呼吸器疾患の患者は、今後の生活に不安を抱いたり、セルフケアや予防対策に消極的な方が多いです。認定看護師は患者と家族からヒアリングを行い、本人の意思を尊重しつつ、正しい療養生活ができるように導く役割を担います。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の活躍できる職場

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、主に呼吸器疾患患者が多い病院の病棟で勤務している方が多いです。
呼吸器科の外来や救急外来、オペ室、在宅ケアなどでも能力を活かした働き方ができます。

慢性呼吸器疾患看護分野の認定看護師受験要件では、「病棟を中心とした看護実績を有すること(その間、外来、IRCU、または在宅ケア領域での実践を含んでよい)」と定められています。
そのため、病棟ナースが資格を取得して、そのまま既存の職場に戻って勤務する事例が多いです。

慢性呼吸器疾患は、生活習慣病が原因で発症する事も多く、セミナーや予防指導を病院内外を問わず頻繁に行われています。
病棟など、決まった配属先があっても、認定看護師の資格を活かして、幅広い活動をする事ができます。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには

認定看護師の慢性呼吸器疾患看護分野の取得方法と、教育内容についてまとめました。
認定看護師の取得基準や費用については、別ページで紹介しています。
(参考:認定看護師を目指す)

資格取得の条件

認定看護師の資格取得の条件は、看護師免許の所有と、看護師免許取得後の実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)です。
慢性呼吸器疾患看護分野の認定看護師を取得のための実務経験は、次の3つの条件を満たしている事が望ましいと看護協会が定めています。

  1. 通算3年以上、慢性呼吸器疾患患者の多い病棟を中心とした看護実績を有すること(その間、外来、IRCU、または在宅ケア領域での実践を含んでよい)
  2. 慢性呼吸器疾患の増悪期から回復期にある患者の看護を5例以上担当した実績を有すること(入院から退院まで責任をもって担当した経験、またはそれに準じる内容であること)
  3. 現在、慢性呼吸器疾患患者の看護に携わっていることが望ましい。

合格率・難易度

第22回認定看護師認定審査では、慢性呼吸器疾患看護看護の分野の認定看護師を56名受験し、合格者は56名でした。
合格率100%の結果になったのは、まだ分野が特定されて間もなく、各病院が厳選した優秀な看護師が認定審査を受けている事も要因です。
資格の難易度は、他の認定看護師の分野と同等水準です。教育課程を受ければ必ず合格できるとは限らないので、油断せずにしっかり勉強する事が求められます。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の教育機関

2015年11月現在の認定看護師の慢性呼吸器疾患看護分野の教育機関は次の通りです。

●日本赤十字看護大学看護実践・教育・研究フロンティアセンター(東京)
2015年度休講

●福井大学大学院医学系研究科附属地域医療高度化教育研究センター看護キャリアアップ部門(福井県)
開講月:6月/開講期間:8ヶ月/定員:30名

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の教育カリキュラム

認定看護師の慢性呼吸器疾患看護分野のカリキュラムや所要時間は、各教育機関によって違います。
ここでは、看護協会が定めている、認定看護師教育基準カリキュラム基準を紹介します。

●共通科目:105〜150時間
認定看護師に必要な共通の能力を養うための科目、「看護管理」「リーダーシップ」「文献検索・文献講読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」の7科目を必修科目として、それぞれ15時間ずつ履修します。
「臨床薬理学」「対人関係」「医療安全管理」の3科目を選択科目として、各15時間、教育機関が用意できます。

●専門基礎科目(120時間)
「慢性呼吸器疾患患者のヘルスアセスメント」を45時間、「慢性呼吸器疾患看護概論」「慢性呼吸器疾患病態論」を各30時間、「慢性呼吸器疾患における薬理学」を15時間、合計4科目120時間を履修します。

●専門科目(150時間)
「慢性呼吸器疾患患者の酸素療法と人工呼吸療法におけるケア」を45時間、「慢性呼吸器疾患患者における自己管理のための患者教育」「慢性呼吸器疾患患者の在宅における呼吸ケア支援」を各30時間ずつ履修します。
「慢性呼吸器疾患患者における呼吸リハビリテーション」「慢性呼吸器疾患患者の終末期ケア」「慢性呼吸器疾患の予防活動」を各15時間ずつ履修します。
合計6科目150時間履修します。

●学内演習(60時間)
「患者教育プログラムの立案」、「終末期ケア」、「認定看護師の看護活動」、に関する課題について演習する。

●臨地実習(180時間)
慢性呼吸器疾患患者および家族に対して看護を展開し、認定看護師としての専門的な実践能力を高めるために、合計180時間の臨地実習を履修する

以上の合計で615時間(+45時間)の教育カリキュラムを受ける事で、慢性呼吸器疾患看護のスキルを習得し、認定看護師認定審査の受験資格を取得できます。

慢性呼吸器疾患看護の難しさ

呼吸器の疾患は、呼吸や食事に影響を与えます。
呼吸は人間が生きていくために必要な事で、365日24時間継続する必要があります。食事は人が生活する上で重要な役割を担います。
生きるために必要な栄養補給は点滴などでできますが、人間らしい生活を送るためには、できる限り口から食事を摂取する事が大切です。
慢性呼吸器疾患看護は、こうした人の生活や生命維持に欠かせない症状の看護を行います。

間違ったセルフケアをしたからといって、すぐに死亡や重度の後遺症が残る事故に繋がるとは限りませんが、正しいケアをしないと患者本人が苦痛を感じてしまいます。
合併症リスクの軽減や、予防対策をするためにも、慢性呼吸器疾患認定看護師は、高い看護実践能力とコミュニケーション能力を発揮して、患者1人1人から信頼されるパートナーとして指導、相談をしていく必要があります。

求められる専門知識も多く、理論だけではなく精神論も大切な分野ですが、患者のセルフケアが上手くいきADLが向上した時のやりがいは大きな物になります。

まとめ

  • 慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、2012年から認定開始した新しい資格
  • 慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、順調に資格保持者が増えているが、教育機関の少なさが課題になっている
  • 慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、病棟ナースが多いが、資格を活かした働き方ができる領域は広い

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